親御さんへ
バリューイングリッシュの学長の堀場 英雄と申します。
今回、2020年に大学入試にスピーキング及び英語の4技能検定が導入されるであろうことを見据え、その1つの原型になりうるといわれているTEAPという英語4技能試験を例としたスピーキング教材を作成しました。
私自身、2016年時点で4歳になる子どもがいます。自分の子どもに小中高とどういう英語教育を受けて欲しいか?その観点から自信のアメリカ大学院留学経験も活かし、当校の講師と一緒に作り上げました。また今回クラウドファンディングも活用し、多くの方のお力添えによりサンプル問題の無料公開をすることができました。
私自身英語で大変苦労しました。実は、英語で足きりとなり、希望の大学に入学することができませんでした。私は工学部だったので、数学で満点が取れるのに(日本人にとってアメリカの大学院入試試験のGREは非常に簡単です)なぜ英語で落とされなければいけないのか?理不尽に感じたものでした。
自分の子どもには当たり前ですが英語で無駄な苦労はさせたくありません。大学院1年目が終わる頃、TOEFLの試験を博士課程進学のために再度受けましたが、その時はすでにどこの大学でもいけるレベルに到達していました。英語はアメリカにいったら3歳児だって話しているわけですから、修得に時間はかかりますが、やれば必ずできるようになる科目です。基本は時間をかける必要がありますが、2~3割は効率よくやるコツがあります。
最近の英語学習の少し異様な程の盛り上がりに関しては疑問を持ちます。
みなさんは、自分の子どもいつ、どこまでの英語力を身に付ける必要があるとお考えでしょうか?
英語だけできても、アメリカ及び海外で評価されることはほぼありません。アメリカにいけばだれだって英語は話せるんですから。日本で日本語を話せることは強みにならないと同じです。
自分の子どものためにも、英語教育について日々真剣に考えておりますので、その視点でいくつか意見を述べさせていただきます。
英語よりも大事なこと
まず英語は今のところ非常にパワフルなスキル、つまり履歴書上も非常に役に立つスキルですが、それはあくまでも、サブスキル、+αのスキルとしてです。英語だけではダメなのです。このあくまでもおまけであるという観点を絶対に忘れないでください。
また、今後AIの進化が進むと、ほぼ確実に同時通訳の機会が出てきて、英語を話せる必要性はなくなります。ただ、言葉というのは非常に文化と強く結びついており、文化を理解するために言語を学ぶ、教養として学ぶという意味では英語学習はなくならないと思います。また、よりグローバル化が進む中で、言語が統一されていくようなことが起こる場合、かなりの確率で英語になると思われます。それ以上に、感情の入った会話をしようと思ったときに、機械の力を借りたいでしょうか?そういう意味でも英語は少なくとも教養として、文化を理解するツールとして必ず残ると思います。
そして本題の英語より大事なことですが、英語はサブスキルなので、メインのスキルとあわせて力を発揮します。
留学当初、英語の発音が悪く、多くのクラスメート(特に白人)が私の話は5分も聞いてくれませんでした。これは結構きついです。ただ、向こうにとっても非常に分かりにくい英語を聞くのは苦痛なのです。
非常に困っている中で、気晴らしにとおもって取ろうと思った授業の中でPE(体育)の授業に何と空手があることに気づきます。私は中学、高校と空手を6年やっていて、一応黒帯でしたのでおもしろそうだなととってみることにしました。授業の初日に基本突きの練習がありましたが、授業後先生に声をかけられ、日本でやっていたの?と聞かれたので、そうだと答えると授業にぜひ参加してほしい、黒帯も持ってきてつけていいといいます。
次の授業、黒帯を締めて、先生が前で上段蹴りの見本をみせるようにいうのでそれを披露すると、体育の授業のクラスメートの私を見る目が一変します。日本では空手6年なんていうのは当たり前で黒帯なんてめずらしくありません。しかし、アメリカでは違います。特にコツコツと積み重ねる型などは美しさに差が出ます。授業後には、かなりの人が集まってきてどうやるか教えてくれと聞きに来ます。みんな真剣で私の英語が下手かどうかは気にしません。ここで、そうか相手にメリットがあれば英語が下手でも聞いてもらえるのかと気付きます。その後は他にないか?と考えると、数学、物理は英語が話せなくても丁寧に1つ1つ数式を書いていけばなんとかなります。そしてアメリカ人はこういった手計算をあまりやっていないのでアメリカの大学1、2年生は、微積分なんかは大学入試で鍛えられた日本の学生の比ではありません。ここを大学寮でボランティアで教えるようになると試験前は分かり易い!と大人気になり、試験前だけ私に話かけるわけにもいかないので、みんな仲良くしてくれるようになりました。あいつは使えると。
何がいいたいかというと、小学生、中学生などの多感な時期には、武道をしたり、茶道、書道をしたり、日本の文化に触れたり、テストの点数には1点も加算されませんが、日本の外に出た時には大きな強みになる可能性があるということです。つまり無理に小学生で英検1級を取ることよりも、そんな時間があるなら、他のことに時間を使ったほうが良い可能性が高いということです。
いつまでにどこまでできるようになっている必要があるか?
では、英語は今後どれくらいのペースでできるようになる必要があるのか?
ですが、1つの目安として、英検級でいうと
標準的なレベルの生徒
小学校卒業時点: 3級
中学校卒業時点: 2級
高校卒業時点: 準1級
旧帝大・早慶を狙うレベルの学生
(小学校ではクラスで1番のレベル)
小学校卒業時点: 2級
中学校卒業時点: 準1級
高校卒業時点: 1級
これは、
英検1級=大学留学可能なレベル、
準1級=日常会話が完璧にこなせる知識があるレベル、
2級=基本語彙で自分の意思をしっかり伝えるための基礎力があるレベル
で設定しています。
ちなみに、上級の級を取得しようとすると飛躍的に必要学習時間が増えます。
高校卒業時点で1級に達すれば、どこの大学でも留学したければできるので、これ以上の英語力は18歳の時点では不要と思います。試験は何事もそうですが、適切な時期に必要十分ぎりぎりのところまでやっておくのが良いと考えます。
勉強しなさいは無駄
私自身特にそうなんですが、「勉強しなさい」という親の言葉で心が動いたことは一度もありません。
皆さんもそうではないでしょうか?
試験の点数が悪いから、勉強しなさい!というのは
ある意味でパートナーから、給料が低いのでもっと働きなさいといわれているのと変わらないかもしれません
。
やはり一番大事なのは興味を持つこと、知的好奇心を刺激することです。
私がとても後悔しているのは、留学前にUCバークレーやスタンフォード大学のキャンパスを見なかったこと。これを1度でも見ていたら、死ぬほど英語を勉強したと思います。そういうきっかけ、刺激を与えることだけが子どものために出来ることかなと思っています。そういう意味では、お茶がいいのか?書道がいいのか?空手がいいのか?剣道か?子どもが何に興味を持ち、何であれば5~6年続けられるか?どの科目でもそういう視点が大事だなと感じております。
個人的な体験をベースに書かせていただきましたが、英語教育のご参考になれば幸いです。