斎藤兆史先生の著作、読ませていただいたら、英語学習者初心者から指導者まで、誰もが知っておきたいことが山盛りでした!
著者について
斎藤兆史(さいとう よしふみ)先生 栃木県生まれ 東京大学大学院教育学研究科教授 インディアナ大学英文科修士課程修了 ノッティンガム大学英文科博士課程修了 「英語の作法」「翻訳の作法」(東京大学出版) デイビッド・ロッジ「小説の技巧」(共訳・白水社)等 著書多数 大修館書店様の雑誌「英語教育」 内、 『英文解釈演習室』 読者投稿の選者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 華麗なるご経歴・・・斎藤先生のような英語の達人にはなれないけれど、正しい英語の勉強法を身につけて、英語を正確に読めて、論理立てた英語を書いて話すことができるようになりたい!! どうしたらそうなることができるのか、自分はいつも悩みながら学習しています。 あれもこれもいろいろやってみるのも大事かもしれないけれど、やはり達人と言われる人のやり方を真似て進めるのが良いのだ!と実感しました。
こんな人に
自分の母語で対等の議論ができると思う相手に対し、普通は「〇〇語がお上手ですね」などといったお世辞は言わないものである。状況にもよるが「英語がお上手ですね」と褒められたら、まずは落ち込まなくてはいけない。
教養ある英語とは何か
自分は英語が上手ですね!なんて言われたことないので、もっともっと低いレベルなんだろうな、と毎日思う・・・(悲しい・・・)
星★6つ!
まずは英語を論理的に用いる訓練をしておいた方がいいだろう・・・(中略)教養的な内容のことを話すには然るべき準備が必要であることを考えると、まずは作文学習から入ることをお勧めしたい。
発信する 作文・会話学習
教養ある英語とは何なのかを知りたい人 ズバリ「教養ある英語」とは? 英語話者は当たり前のように母語の共通基盤の上に立って英語を運用している。 文学作品もその共通基盤の一部なのである。(本書より引用) つまり「英米文学に関する素養」を十分に身につけ、それを基盤とした英語のこと。 英語はもはやアメリカやイギリスだけのものではないのだから、ツールとして使うことができれば良い、という考えが広がりつつあるようですが、本当にそれで良いのでしょうか? 論理的に話す力をつけたい人 英検1級対策をしている読者の皆さん、おめでとうございます。「論理的に話す力」を身につけるには然るべき準備、まずは作文学習がお勧めとのお言葉をいただきました! もう皆さんは、英検1級のエッセイライティング対策に取り組まれていますね。やはり、この練習は「教養ある英語」を話すためには必要な学習だった!ということになります。 そう考えると、英検協会もなかなかやるな!と思いますねえ。我々にこんな試練を与えることによって、「教養ある英語」を発信することができるように仕組んでいるのですから・・・
最近出会う本は、星6つ(というかそれ以上)のものが多いですね・・・良い本だからおすすめしているんですけどね!
今回の書籍は「ちくま新書」で大変手軽に読めますし、英語学習初心者にもわかりやすく書かれていますから、途中で離脱することもないでしょう。ただし、例題として使われている文章は簡単ではありません。ぜひ時間をかけて取り組みましょう!
教養ある英語と英米文学の関係
母語話者の言語文化とは? 実は日本語を母語とする我々も、日本語でコミュニケーションを図る際、国文学や物語に関する既存の知識を考慮に入れているはずです。 「どんぶらこ、どんぶらこ」という言葉を耳にすれば、大きな桃のお話を思い浮かべてしまう・・・ 「トンネルを抜けるとそこは・・・」という言葉を誰かが使っていれば、ああ、あの「雪国」の一節だなあ、この場面で使うとは、なかなかシャレてるな、と思ってしまう・・・ 上記と同様のことが、英語話者でも普通にあるということなのです。 「スタバ」でお馴染みのコーヒー店「スターバックス」の名前の由来も メルヴィルの名作「白鯨」"Herman Melville, Moby Dick 1851)の登場人物Starbuckだということを知っているのと知らないのとでは、「教養レベル」に大きな差が出るでしょうね・・・(自分はまったく知りませんでした。「白鯨」を読んだこともないのです・・・) 英検1級合格を目指す人なら誰でも「教養ある英語を話したいな・・」と思っていることでしょう。 そのためには、斎藤先生が言われるように、まずは有名どころの文学作品に近づいてみることが必要ですね・・・(これからそうします・・・) では、どんな作品を読んだら良いのかな?(読めるのか?ということももちろん心配ですけど) 手本となる英文作家(斎藤先生ご推薦) David Lodge, "The Art of Fiction"(邦訳版「小説の技巧」白水社1997) ▶︎平易な英語、文学作品以外の事柄を簡潔に紹介、発展学習がしやすい。 Bernard Russell, "The Conquest of Happiness"(邦訳版「幸福論」) ▶︎模擬試験の問題文、参考書の読解用例文としても多用されてきた名著。 V.S. Naipaul, "Reading & Writing: A Personal Account" ▶︎イギリスブッカー賞、ノーベル文学賞受賞の大作家。自叙伝の文体で、文化的アイデンティティを表現するときの手本になる どれも読んだことのない自分は、英語学習者として本当に恥ずかしい存在です・・・ ということで、Russell, "The Conquest of Happiness"を読むことにしました。もう読み始めています!(すごい決断!英語の達人を目指している人はやはり違うな・・・) 書店や公立図書館にももちろんありますが、ネットでも探してみました。ありました!(松下彰良先生、ありがとうございます!) 書籍を選ぶ時間もない!という方はまずはこちらでも良いのではないでしょうか? ちょっとまだ自信がないという方は、日本語で十分を意味を確認してから英語を読んでもいいと思います!(まずは英語で挑戦ですけどね!)
Russel, The Conquest of Happiness
発信のための英作文
「実用的」英語の不自然さ 現在、学校で採択されている英語教科書に出てくるいわゆる「実用的」例文、特にその例文が使われている「場面」に疑問を呈されています。 中1から高3まで、すべてのレベルの教科書に「道案内」があること、ご存知でしたか? 確かに、そんな場面に出くわしたこと皆無・・・(おばさんだから誰も聞いてくれないだけ?) 実用英語というのなら"Go to the station staff and ask them. の方が良いし、すべての段階で学ぶほどの内容ではない。と斎藤先生はおっしゃっています。 確かに、ある程度のレベルの高校生レベルであれば、道案内などではなく、英語で自分の意見を論理立てて伝える練習をしても良い、いや今後の日本を考えれば、しなくてはいけないはずなのに!と思いますね。 想定問答英文は将来役に立つ 研究発表などにおいて、発表までは台本まで準備するのでなんとかなるけれども、質疑応答になるとしどろもどろ・・・これは英検2次のQ&Aセクションでも同じですね。 「それは、リラックスして答えれば良い!」などというのは英語を話すことが得意な人の言い草・・・(これは自分、よく思いました。自分は話すことが苦手、というレベルを大きく超えたひどいレベルでしたから・・・) そのために「想定問答英文集」をできるだけたくさん作っておくことが大事!ということなのです。 英検2次対策でも、もうすでに実践している人も多いでしょうね。 もちろんそのまま役に立つかどうかはわかりませんが、(おそらく直接は役に立たないでしょうね) その練習の過程で英語力がつくでしょうし、将来どこかの場面でで必ず役に立つことは間違いありません。 また、本書では、話題を増やすために、(中略)何か抽象的な話題について質問されたことを想定し、特に自分が英語で話す可能性のあることなどを選び、答えを書き留めておくことをおすすめされています。 斎藤先生自身はご自身の趣味の「合気道」について英語で表現できるようにし、自分なりの説明を考えておき、「折りに触れて読み直し」「音読」をし、何かの時に口からさっと出てくるようにしたとのことです。 こちらも英検1級2次対策ではお馴染みの「自己紹介部分の原稿作り・音読」で皆さん取り組んでいることと思います。(やはりそうだったんだ!皆さんにお勧めしてよかった!)
いくら勉強していてもなかなか上達が実感できないときもあるだろう。 (中略)長い低迷期を経て、ふっと壁を越えることがある。どんなことがあってもたゆまぬ努力をしていれば、何度もそのような体験をしながら、気づけばいつしか教養のある英語の使い手となっているはずである。
発信する
まとめ
英語上級者を目指す人、英検1級合格を目指す人には、非常におすすめの本でした!
この本を読んで、ますます英語学習を「正しく」頑張ろうという気持ちになりました!
(先生の「尿路結石」の話は、お見事!というかすごい話なので、ぜひ皆さんにも読んでいただきたいですね!)
英検1級(2018-1)★1次合格まで15回以上受検 ★1次合格後2次連続4回不合格 ★1次から出直し3回目で2次合格★合格までにessay118本書きバリュー講師から徹底的にフィードバック・発話練習を受ける★地方観光パンフ日→英などなど★英文法・長文読解など現在も猛烈学習中★
ツイッターのフォローよろしくお願いします!