英検®︎2024-2 合格体験記01

受講生の声・体験談

英検2024-2で合格されたKさま・・・Kさまはアメリカで生まれ、幼少時から数多く海外での生活を経験されてきました。そんな海外経験豊富なKさまならではの視点による、貴重な英検1級合格体験記です。

なぜ英検1級なのか

Kさま
Kさま

英検1級にチャレンジする理由は人それぞれだと思います。バイリンガルでもない限り、1級というハードルを乗り越えるには必ず苦しい局面が立ちはだかります。そんな時になぜ1級を目指すのかという原点に立ち戻ることは非常に重要だと思います。

 少し個人的な話をさせていただくと、私の両親は1960’s代初めから半ばにかけ、フロリダで研修医として働いていました。姉、兄はアメリカで生まれ、私は“made in USA, born in Japan”です。
 母はいつも私にアメリカでの体験を語り、毎週ハリウッド映画に連れて行ってくれたりしました。家庭の中は完全にgender equality で、裏表がなく、ストレートなコミュニケーションは典型的な日本の家庭とはかけ離れていたかもしれません。   
そんな環境で育ったせいか、私は日本の社会に息苦しさを感じていました。それは言語の奥にあるコミュニケーションのあり方に原因があるのではないかと感じてはいました。英語圏のようにディベートやデイスカッションの文化がコミュニケーションの中にあれば、もっと人間関係はスムーズになるのではないか、そして国際舞台で日本が生き残るためにこのスキルは必須ではないかと大学時代からずっと考え続けていました。

息苦しいと感じていた日本を飛び出したのは、大学院を終えた26歳の時でした。最初に降り立ったのはサウスダコタ州、そこは日本人がイメージする”ザ・アメリカ“とはかけ離れた別世界でした。社会は黒人・白人に分離されていて、東洋人は”out of sight”で、日本以上に閉鎖的で保守的な場所でした。
大統領選挙では、アメリカの地図が赤(The Republican Party)、青(The Democratic Party)で塗りつぶされます。私たち日本人がアメリカに対して一般的に抱いているイメージは青の民主党だと思うのですが、全米でみると圧倒的に赤色が多く、実際は保守の方が圧倒的に多いわけです。

そこからカリフォルニアのモントレーに移り、通訳・翻訳のコースを目指すべく、地元のコミュニティーカレッジに通いながらTOEFLにチャレンジするのですが、アクセプトされるのに必要なスコア600点に届かず、575点で一度帰国しました。(現在は採点基準が変わっています)いまから思うととても贅沢な話ですが、当時は勉強やいろんなことに疲れていました。いつか戻りたいとは思いつつ、その夢は果たせぬまま途中で夢を諦めたことに心のどこかでずっと後悔の念を抱き続けていました。
子育て中は本格的に勉強に取り組むことは難しく、子育てが一段落ついたころ大学に編入し、日本語教師の資格を取得しました。元々異文化交流に興味があり、国家間の架け橋になりたいとの思いからでしたがやはり英語をやりきっていない思いは拭えないままでした。
クリティカルシンキング力を磨きディスカッションできるということは、俯瞰的に物事を捉え、相手の主張や論理も理解した上で対話ができる能力を養うということです。それが頭では分かっているものの、恥ずかしながら自身にロジカルに意見を述べるスキルはありませんでした。
カリフォルニアでESLに入っていたとき、タイ人の学生グループと「中絶」についてのディベートをする機会があり、歯が立ちませんでした。自分の意見とは別に賛否どちらかの立場に振り分けられ、ディスカッションします。感情に左右されず、いかに客観的な立場で論理的に相手を納得させられるかは争いを避ける上でも非常に大切なスキルです。事実、 “3G” God, Gay, Gunや中絶問題などのcontroversial issueはアメリカの大統領選挙でも重要な論点になります。(カナダ人の友人はこれらのトピックはもう古い、と言いますが・・・)
英語力を引き上げるだけでなく、英検1級2次試験で要求されるこのスキルこそ自分に必要だと痛いほど感じていました。その能力を測る意味でも英検1級の持つ価値の重みは非常に大きく、自身がクリアすべき壁でもありました。外国人の友人たちにはなぜIELTSでもTOIECでもなく、英検なのかと問われ、年齢的に海外で学業やキャリアを積むことは難しいからだと彼らには答えていました。1級の勉強を続けていくうちにこれからの自分に出来ることは外国人の支援と次世代教育だとモチベーションも次第に明確になっていきました。微力ながら国家間の架け橋になるためにも、英語学習者としても、英語指導者としても英検1級の持つ意味は大きかったのです。そして時に苦しい1級合格への過程で、なぜ1級にチャレンジするのか、そこにある強いモチベーションに立ち返ることは時にくじけそうになる自分を鼓舞し、合格を勝ち取るために非常に重要なことでした。

情報のアップデート:経済大国という幻想

Kさま
Kさま

日本は約30年という長期に渡るリセッションから抜け出せずにいるにも関わらず、経済大国という幻想に捕らわれたまま停滞しているという感がぬぐえません。1級受験者が使用している参考書は素晴らしい名著ですが、“As an economic super power,”という表現が出てきます。これに関してはもはや時代遅れです。情報のアップデートのためにもValue Englishでのレッスンは必須でした。経済や国際問題を論じるときに、私は「もはや日本は経済大国ではない、falls behind other Again countries」とEms先生には話していました。Ems先生も同感で、今の思いを率直にスピ-チにしました。

肌感覚で国際状況をとらえる

Kさま
Kさま

37年前、オーストラリアへ行ったときは、マクドナルドのハンバーガーは日本円で80円でした。また、30年程前アメリカにいた頃、円が最高値の1ドル77円をつけ、母に「円高のおかげで仕送りも助かるわ」と喜ばれたことを想い出します。母がアメリカに住んでいた頃の為替は1ドル360円の固定相場でした。約10年前、子供たちを数年にわたり、夏休みにハワイのサマースクールに連れて行った頃、円は1ドル90~100円あたりでした。今円の価値は半分から2/3程に下落していますが、その危機感が日本人は薄過ぎると思うのです。ドルの価値でいうと資産は半分になっているのに危機感がない、これは無形資産に関しても同じです。
 私がアメリカから帰国した頃、同年代のALTの友人たちは最初は英語教育に情熱を持ち、自分のキャリアのステップアップとも考えて来日していました。しかし彼らはみんな日本への失望を口にして帰国しました。当時円高の日本での所得は彼らにとって魅力的ではあったけれども、文部省から学校に派遣され、ただのテープレコーダーとして遣われる、仕事のスキルアップも見込めない、こう言って優秀な友人たちはみんな日本を去って行きました。
 日本が人材に関し宝の持ち腐れ状態の間にアジアの隣国は語学教育に関し日本と比べものにならないくらい力をつけてきたと思います。そして優秀な外国人指導者もアジアの他の国々へ流れたと思います。
子供の影響を受けてあるK-popアイドルをよくみているのですが、彼らはLAのライブでは英語で、大阪では大阪弁で福岡では博多弁でMCをこなします。英語、日本語ともに優れた運用能力です。日本が英語圏のネイティブスピーカーを尊重してもっと教育の現場で活躍できる環境を与え、英語教育をし、日本の英語の教師を教育していれば日本の国際競争力は今、違う結果を生み出していたのではないかと思うのです。 

 韓国では今も日本人が思う以上に過去の戦争責任に対して日本に厳しい目を向けています。これもアメリカでの苦い体験のひとつですが、韓国の人と仲良くなると、過去の責任についてどう考えているんだ、と問い詰められます。日本国内での戦争に関する教育と韓国人の韓国での教育とのギャップにも驚き、私たちが伝えられていることの真偽すら分からず、何も答えられませんでした。それを子供に伝えると、今は時代が違うと一蹴されましたが、その矢先、私たちのファンの韓国のアーティストが、日本の終戦記念日(=韓国の独立記念日)にインスタに日本でのツアーの模様をあげたところ、韓国で叩かれて謝罪するという事態になりました。この一件に息子はショックをうけていましたが、日本の国際感覚のずれを彼なりに感じたと思います。
 そんな中、韓国のアーティストが、言語をはじめ、エンターテインメントや文化面で日本のファンに歩み寄ってくれる姿には過去の悲しい現実をも洗い流すようなパワーすら感じます。この30年で日本が取り残されている間にアジアの国々は生き残りをかけて言語教育にも取り組んできたことがエンタメ界をみていてもよく分かります。それは語学の教育にもはっきり結果として現れています。今後、日本が国際社会で生き残っていくためにも、若い世代が語学力を身につけ、バランスのとれた国際感覚を身につけることは非常に有益だと思います。

試験対策 〜1次試験〜

Kさま
Kさま

いろんな体験談を聞いていると人それぞれですが、私はボキャブラリーとライティングで点数を固めることにしました。リーディングやリスニングは読み違えや聞き違えによるリスクもあると考え、とれる点数から確実に固めていこうと思ったのです。海外の大学で文献を読みこなしていた方はリーディングでスコアを固め、ボキャブラリーはある程度捨てた、という話も聞きました。自分が投資できる時間やこれまでの経験、自分の強み、弱みを分析して合格のための対策を練ることも大切かもしれません。
 結果的にボキャブラリーは24/25、ライティングでスコアを稼ぎましたが、リーディングのスコアがかなり低く、リスニングも7割には届いていなかったと思います。

次回は、いよいよKさまの英検1級2次試験挑戦の記録です!お楽しみに。ワクワク・・・

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