“Think Different”
この言葉とっても有名なので、ご存知の方も多いと思います。
そう、1997年スティーブジョブズが復帰した時に流されたCMです
ところで、これってThink differentって文法的に正しくない?と疑問に思ったことはないでしょうか?
いわれてみると確かに…という感じですが、なぜ”Think Different”なのでしょうか?
このCMはYouTubeでみることができます
単純形副詞(flat adverb)と呼ばれる,形容詞と同じ形態を持つ副詞類が存在します。
例えば、Drive {slow/slowly}.They stood {close/closely} to each other
他にもこのような形を取るものに
clean, clear, dear, deep, direct, fine, first, flat, free, full, high, last, light, loud, low, mighty, plainなど
但し、Differentの副詞はDifferentlyで、上記のようなルールが適用されない単語なのです。
英単語には、大きく2つの種類があります。ゲルマン系とラテン語系です
ゲルマン系というのは中学校で習う基本単語だと思ってください(日常会話の多くはこれでカバーされる)
ラテン語系は、一方で規則的に変化する単語です。
ゲルマン系は上述の例もそうですが、loveのように動詞と名詞二つの品詞をもったりします。
この違いに興味がある方はこちらの記事(もともとの英語について 英語の歴史1)をご一読ください
話を戻すと、実はSteve Jobs (Isaacson 2011)にジョブズがその理由に触れて
They debated the grammatical issue: If “different” was supposed to modify the verb “think,”
it should be an adverb, as in “think differently.” But Jobs insisted that he wanted “different”
to be used as a noun, as in “think victory” or “think beauty.” Also, it echoed colloquial use,
as in “think big.” Jobs later explained, “We discussed whether it was correct before we ran
it. It’s grammatical, if you think about what we’re trying to say. It’s not think the same, it’s
think different. Think a little different, think a lot different, think different. ‘Think differently’
wouldn’t hit the meaning for me.” (Walter Isaacson, Steve Jobs, 329-330.)
Slow/Slowlyのように形容詞、副詞どちらでもOKになってしまう用例はある
でもDifferentlyとは本当は言わない。文法的には間違っている
この微妙に感じる「違和感」をあえて織り込んだ、または
絶妙の「間違い」があるこのフレーズ”Think Different”は
スティーブジョブズってすごいんだな~と改めて関心させられる一文だと思うのです
参考

名古屋大 物理工学科卒、米国の大学院にて原子核工学修士を取得(アメリカ留学)。20代はGEやBCGといった一流外資企業で語学力を活かし外国人のエグゼクティブへ英語でのプレゼン経験も多数有。理系でありながら、実用英語技能検定1級、TOEIC980点、IELTS7.5点。著書: 一生食える「強み」のつくり方
今まで習得してきた「英語力(米国大学院)×財務スキル(GE)×戦略立案力(BCG)」のかけ算で、オンライン英会話学校バリューイングリッシュを設立。同校の学長を務める。多忙な留学・社会人生活の中でも、効率的に次々とスキルを習得する「学び方」のノウハウには定評がある。